恋愛初心者です、お手柔らかに?
誰かに呼ばれた私は、声のする方を振り返った。

「え?」

「はぁはあ…おはようございます。朝早いっすね」

「さ、斎藤君。おはよう。目冴えちゃったから」

いきなり目の前に現れた齋藤君に、しどろもどろになりながら返事をした私。
おかしくなかっただろうか?

「あ、白石さん!ご無沙汰してます。今度帰って来られるんですよね?課長になったって聞きましたよ。よろしくお願いします」

え?か、課長?
いつ齋藤君はそんな話を聞いたんだろう?
白石さんに頭を下げる齋藤君にびっくりしていると、白石さんが笑った。

「もう聞いたのか?早耳だな。俺もこの間聞いた所なのに。まぁ、そう言う事だから、またよろしく頼むよ」

白石さんは、齋藤君の肩をポンポンと叩くと何か言いたげに私の方を向いた。

やばい。
さっきの返事を聞かれるんだ。

そう思った時だった。

「白石さん、いや白石課長。今日東京泊まりですか?それだったら営業部のみんなで飲みに行きませんか?久しぶりに。どうですか?みんな喜びますよ」

え?
齋藤君が白石さんを誘った。
思いもしていなかったのか、白石さんは返事に困っていた。

「そう、だな。まぁ、いいか。行くか!」

「やった。じゃ、声かけますね!あ、永山さん、聞きたい事あったんですよ。ちょっといいですか?」

「へ?あ…う、うん。白石さん、す、すみません。失礼します」

少し強引とも思える程に、斎藤君は私を営業部へと引っ張って行った。
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