魔法学園の落ちこぼれは卒業できるのか
第2章
大昔―この大陸の半分以上を支配する巨大な国があった。
やがてその国はデュノア王国とラルレット王国という二つの王国に分裂した。
分裂したといっても内乱などで分裂したのではなく、大きすぎる国はいろいろと不便なため分裂しただけだ。
だから元をたどれば両国の王族は同じ血筋だし、言語や文化も大きな違いはない。
今日に至るまで友好的な関係が続いている。

両国とも他国に比べて魔力を持つものが多く、魔法の研究も進んでいる。
魔力を持つ者達は軍事、医療、科学、芸術と様々な面で活躍し、国の発展を支えているのだ。
魔法のさらなる発展のため――そんな目的から両国が二国間をまたぐように創設したのが『シュヴァリエ魔法学園』だ。


デュノア王国とラルレット王国の優秀な生徒だけが通えるこの学校――そんな学校に魔法が使えないなんてふざけた輩はいない。・・・私以外


「あ~あ、ほんといやになっちゃう」

「元気出してジゼル。入学を許可されたことは事実なんだから大丈夫だよ」

「そんなこと言うけどここは実力主義なんだよ?どんなに座学ができても魔法が一つも使えないなら卒業さえできないよ!!」

シュヴァリエ魔法学園は初等部から大学部まである巨大な学園で、全寮制。
一応中等部までは無条件で卒業できるらしいけれど、高等部は三年生のときにある卒業試験に合格しなければ留年らしい。その卒業試験は実技、だそうだ。
魔法の才能にあふれた六歳の子供が初等部に入学すると、高等部を卒業することが必須条件。大学部はよほど何かを研究したい者でないと進学せず、あとは皆各々の能力を活かした職に就く。

つまり魔法が使えない私は卒業試験に合格できない、そして留年。これを永遠に繰り返すしかない。命つきるまで学生をしなきゃならないなんて・・・!
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