剛力家の三兄弟
「正解だったな?」
「え?」
「いや、可愛いって思ってな!」
「一人はしゃいで、子供みたいって言いたいの?」
「違う。ここを選んで正解だったって事だ。
こんなに喜んでる、真奈美を見れたんだからな?」
「こんな素敵なプレゼントは、生まれて初めて、有難う」
「言葉だけじゃなくて、せめてキスくらいして欲しいな?」
禎憲の言葉に、照れながらも真奈美は、“ちゅっ” と軽いキスをした。
頬を赤らめる真奈美を見て、禎憲はクスッと笑った。
「まぁ、今はこれくらいで許してやるよ?
もう直ぐ、朝食のルームサービスが来るからな?」
「ルームサービス?」
「そろそろ着替えて来た方が良いぞ?
胸元のキスマークが見えてる。
ホテルのスタッフに見せたいなら、そのままでも、良いけどな?」
良い訳ないじゃん!
「バカ!」
真奈美は顔を真っ赤にし、慌てて着替えに行った。着替えを済ませて戻ると、朝食はテラスに用意されていた。
「え?ここで食べるの?」
「嫌か?」
「ううん。素敵!」
まだ、開園時間前の為、来園者は誰もいない。
園一望しながらの食事。夢のような時間に、頬が緩みっぱなしだ。
「ニヤニヤし過ぎだぞ?」
「だって、嬉しいもん!」
「何が?」
「何がって、ネズミランドファンなら、一度はこんな素敵な部屋に泊まって、このテラスで食事する事は夢なんですよ?
それが、叶っちゃったんだもん、嬉しくてニヤニヤくらいしますって!」
「俺が一緒じゃなくて、真奈美一人で泊まったとしても?」
違う!
好きな人と居るから!
禎憲さんが、一緒に居てくれるから、嬉しさも倍増するの!
「禎憲さんってほんと意地悪!
分かっていて、聞くんだもの!」
「そうだろうと分かっていても、直接言われるのとは違うんだよ?
ほら、どうしてニヤニヤしてるのか、言ってみろよ?」
「好きな禎憲さんと、一緒だからです!」
「ちょっと足りない」
足りない・・?
何が?
「足りないって・・どう言う事?」
「夢だったホテルで、大好きな俺に何度もイカされ、火照りを残した体を、大勢の人達に見せつけれて幸せを感じる?」
えっ?
「そんな事」
真奈美が違うと頬を膨らませていると、大勢の来園者が歓喜の声を上げ我先にと走り、波寄せてくる。
「スッゲーな?」
私もあの中のひとりだった。
でも、今日は違う。
高い所から園を一望し、優越感すら感じてる。