剛力家の三兄弟

明憲さんに言われた通り、駅前の皇后園まで、しいたけ茶を買いに行った。
買いに行ったは良いが、これがまたお高い事、あまりの高額に唖然としてしまった私。
勿論、領収書は忘れてない。
領収書を忘れようものなら、あの男はお金を払わないからだ。

でも、こんなの経費で落とせるの?
だって、こんな高価なしいたけ茶なんて、お客さんに出さないでしょ?
出せる様な事務所でもない。

真奈美が働き出して、もうすぐ1ヶ月になるが、事務所の電話が鳴るのは、間違い電話と、禎憲への便利屋業の電話だけだった。

“庭の木の枝を切って欲しい”
“猫が居なくなったから探してくれ”
“塀の塗り替えをして欲しい”などの、便利屋業の依頼ばかりで、探偵であるはずの禎憲への電話も、可笑しなものばかりだった。

それにしても、この馬鹿高い、しいたけ茶、一杯いくらするのよ⁉︎
あんなクズ弁護士には勿体無いわ!
番茶に干し椎茸でも入れて飲んどけ!
それでも、あの人には勿体無いわ!

真奈美は、おつかいの帰り道、ブツブツ文句いいながら帰っていると、河原を歩いてる雅人を見つけた。
声をかけようとしたが、雅人の後ろを、帽子を深く被る、雅人の後をついていく怪しい男が見えて、思わず自分の口を塞いだ。

まさか誘拐?
でも間違っていたら…
名誉毀損に…

なんだか、あの事務所で働くようになってから、色んな事に巻き込まれる気がする。っていか自分から、巻き込まれに行ってる様なものだけど?
でも、これはマズイでしょ?
憲剛さんに…




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