剛力家の三兄弟
女性は怒りのあまり、手元の水をぶちまけた。
だが、水が向かった先は彼はではなく、真奈美の顔だった。
「アッハハハ…マジウケる!俺が水掛けられるなら兎も角、なんであんたが水掛けられてんの?」
そんな事私が聞きたいですよ⁉︎
騒動を見ていた店員は慌ててタオルを真奈美へ持って来て “大丈夫ですか?”と、心配の言葉を掛けてくれた。
店員ですら、心配してくれてるのに、当事者のあんたは、心配の言葉どころか、謝罪の言葉はないのか!?
「これどう言う事か、説明して貰えますよね?」
「まぁアンタに迷惑かけたのは事実だから、話すよ?」と言って、憲剛は真奈美に事情を話し出した。
憲剛は、上司に彼女を紹介され、遊びのつもりで付き合ったが、彼女に本気になられて、困っていたと言う。
「最低な男(ひと)ですね?」
「んーそれは違うと思うけど?俺は初めから、紹介してくれ上司にも、結婚する気は無いって言ってたし、彼女にも特定の人を作る気ないと伝えていたからね?彼女は、それでも良いから付き合って欲しいって言ったんだし、セフレでもそれなりに、優しくしてたつもりだよ?」
上司からの紹介の人(彼女)をセフレって時点でおかしいでしょ?
それに彼女だって優しくされたら、勘違いだってするわよ!
「だからって…こんな嘘まで付いて…」
「全くの嘘じゃ無いだろ?
君は剛力家の花嫁候補でもあるんだから?」
「花嫁候補じゃなくて、行儀見習いの居候です!」
「君はそう思っていても、母は違う。そのお陰で君は住処を手に入れた。」
「うっ・・・」
そうだけど…だからって…
「俺も面倒な女達と手を切れる事が出来る。利害の一致って事で、ね?真奈美ちゃん!」
何が利害の一致よ⁉︎
全くの知らない女から水はかけられ、周りからは好奇の眼を向けられ…
こんなの割に合わない!
あ!それより…
「それより、このお着物どうするんですか?」びしょびしょに濡れて法子さんになんて言い訳したら…きっと怒られる…」
「大丈夫、大丈夫、お袋も想定内だと思うよ?」
想定内?
憲剛さんは私の顔を見て、更に笑い「また宜しく」と言う。
また宜しくって…
冗談じゃない!
こんな事二度と御免だ!
だが、真奈美の気持ちなど、憲剛には伝わらず、それからも何度か、憲剛のセフレ相手から、水をかけられるだけでは無く、時には頬を叩かれる事になるのだ。
だが、今はまだ知らない真奈美だった。