剛力家の三兄弟

「あのさ…こんな事もうやめてくれるか?」

え?

「起きて待ってなくて良いから…俺、あんたと結婚するつもり無いしさ…」

「私、そんなつもりは…」

「それから…あんた明憲とホントに結婚するつもり?」

考えもしていなかった憲剛からの質問に、真奈美は驚いて、一瞬どう答えるのが正解なのか考えてしまった。

「え…?しませんよ」

「そっかなら良いけど…アイツ多分、長男だからって気持ちで、あんな事言ったと思うんだよね?
だから、真に受けないで欲しい。
俺たちは三つ子で、長男とか次男とか関係ないからさ?
俺は、アイツ(明憲)が一人で家の事背負わなくて良いと思ってる。だから…」

「憲剛さんて、優しいですね?
私が知ってる憲剛さんじゃないみたい。
心配しなくても、私、3ヶ月後にはここ出ていきます」

「・・そう。なら良い」

そっか…明憲さんが私と結婚しても良いって言ったのは、そう言う事だったんだ…?
やっと腑に落ちた…

「でも、やめませんよ?」

「は?」

「私がここに居る間、また、憲剛さんが事件で留守にする時は、おにぎり作りますよ!
でもそれは、憲剛さんの為じゃなくて、自分の為ですから、憲剛さんは気にしないで下さい」

「自分の為?」

「憲剛さん達、刑事さんや、お巡りさんは、国民を守るの為に、危険を承知で昼夜関係なく働いてくれて、私はそんな皆さんに感謝してます。

だから、少しでも私に出来る事をしたいだけです。それを思うきっかけをくれたのは、憲剛さんだったけど、相手は誰でも良かったんです。
たまたま側に居たのが、憲剛さんだったって事なんで、だから気にしないで下さい」

真奈美の話を聞いて、他人(ひと)の気持ちは、どうする事も出来ないと思った憲剛は、“勝手にしろ”と言って仕事へ戻っていた。

そして真奈美は、宣言通り事件が解決して、憲剛の日常が、通常運転になるまで、おにぎりと卵焼きを作り続けた。




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