剛力家の三兄弟

「なんで、あんたが謝る?」

「え?」

「あんたは何も悪く無いだろ?」

「・・もう少し私の手際が良かったら、こんな事になっていなかったと思うので…」

一区切りついたところで、やっと、エミが店に戻ってきた。禎憲はエミが戻って来たところで、明憲に店に来るように、連絡した。

連絡を受け直ぐに下りて来た明憲の手には、全く手のつけられてない、コーヒーとパンケーキが有った。

えっ!?
なんで…?

「明憲、それお前が頼んだの?」

「いや、頼んでない。て、言うか、俺が食えないの知ってるだろ?」

「・・ああ。って事は、エミが自主的に材料買って来て作ったって事だよな?」

禎憲の顔が、みるみる機嫌が悪くなるのが、真奈美にも分かった。

禎憲は、自分で厳選した物だけを、信頼してる店から仕入れてる。だから、禎憲の知らない商材が、店に有るのはおかしいのだ。

それに、禎憲の店ではパンケーキなど、デザート系は、一切出していない。禎憲は、自分の店で勝手なことをされた事にも怒っているが、なにより明憲の命の危険を、脅かす事をした事に怒っていたのだ。
エミが作ったパンケーキには、生クリームが添えられ、その生クリームの上にチョコレートが掛けられていた。

明憲は子供の頃から、カカオマスアレルギー(カカオアレルギー)で、チョコレートが食べれないのだ。エミが知らなかったとはいえ、ひとつ間違えれば命に関わる事なのだ。
真奈美は剛力家へお世話になった日に、明憲のカカオマスアレルギーの事は聞いて知っていた。

エミちゃん…明憲さんに持って行く前に、一言声をかけてくれれば良かったのに…
これはまずいよエミちゃん。





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