剛力家の三兄弟
「エミ、パンケーキの材料のレシート、経費で落としてやるから、出しな?」
「えーと、レシートはユリさんがまだ…」
材料はユリが買って来てくれたから、レシートはまだ、ユリが持っていると、エミは言う。
「て、事は、今回の事は、ユリも共犯って事だな?」
「禎憲さん・・」
ふたりが知らなかったとはいえ、これは明憲さんの命に関わる事だ。
今日、明憲さんが、エミちゃんを信用してない発言は、こう言う事…だったの?
禎憲はレジと、自分の財布から万札を出し、封筒に入れ、ユリと、エミに差し出した。
「もう明日から来なくていい。少し多めに入れて有るから、それ持ってとっとと、帰れ!」
「ちょっと待ってください!勝手な事したのは謝ります!でも、いきなり解雇っておかしいです!ずっと…ずっと禎憲さんの為に働いて来たのに・・・」ユリは気持ちのまま禎憲に訴えた。
エミもまた、何がなんだか分からない様で、ただ泣きながら謝っていた。
「俺の為に働いていた?」
「ええ。貴方が好きだから、就職もしないで、ずっとここで働いて居たんです」
「ずっと働いていたなら、知ってるよな?俺が、調味料ひとつにもこだわっていた事も?」
「知ってます。でも、パンケーキ1つくらい良いじゃないですか?エミちゃんは明憲さんの為に何かしたくて作ったんですから!」
「為に、為に??・・良い加減にしてくれ!お前らの気持ちなんか知るか!?いつもいつも女は自分の気持ちだけを、押し付けて来やがって!俺達の何を知ってる?」
「禎憲さん!もうそれ以上は、やめませんか?
ユリさん達は、何も知らなかったんですから?
私が気がつかなかったのもいけないんだし、それに今、ユリさん達に辞められたら、お店が困ります。
幸い大事にならなかった事ですし、今回の事は許してあげてください。お願いします。一度だけ、チャンスあげて下さい?」
真奈美はユリと、エミの為に頭を下げた。