剛力家の三兄弟
翌日から、真奈美に対してのエミの態度が、180度変わった。真奈美が挨拶しても、それに応える事はなくなり、少しづつ、仕事にも支障が出て来ていた。
「3番テーブル、ホット2つと、ミルクティー1つお願いします」
「・・・・」
挨拶を返してくれなくても良い。
でも、注文した物が、通ってるのか分からないのは困る。
『あのーコーヒーまだですか?』
「すいません。直ぐお持ちします」
「あの・・さっき注文した、3番テーブルのホットまだですか?」
「チッ!」
なかなか出てこないコーヒーを催促すると、舌打ちしたエミが出したのはホットミルク2つと、紅茶だった。
「ホットミルクじゃなくて、ホットコーヒーなんですけど?」
「こっちに伝わる様に言わないと分かんない!」
えっ!?
禎憲の店はコーヒーをメインにしてる。その為、昨日までホットと言えば、その日のオススメのホットコーヒーが出て来てた。
伝票にも書いてるのに…
聞き取れなかったら、聞くか、伝票見てくれたら…
「ごめんね、直ぐ入れ直すわね?」
そう言ってくれたのは、ユリだった。
「随分疲れてる様だな?
疲れてるなら、明日仕事休んでも良いぞ?」
帰りの車の中で明憲が真奈美に声をかけた。
禎憲もまた、“店の方も休んで構わない” と、言ってくれる。
だが、一刻も早くお金を貯めて、剛力家を出たいと思ってる真奈美は、二人の申し出を有難く思いはするが、断る事にした。
「いえ、お金貯めなきゃいけないので、休みませんよ?」
真奈美の返事に「休日出勤するか?」と、言ったのは禎憲だった。
「おい、従業員に休日与えるのは、雇い主の義務だぞ⁉︎」
「分かってる。俺は提案してるだけだ。休日出勤するなら、勿論手当はつけるし、休みを振替するのも良い」
「はい。休日出勤します!」
「じゃ、今度の日曜」