剛力家の三兄弟
いつもの様に朝食の準備を済ませ、7時には真奈美も食事の席に着いたが、明憲だけが席に着かなかった。
どうしたのかな?
今まで明憲さん、一度も遅れた事なかったのに…
「私、見て来ます!」
美代子が呼びに行くと言うのを、真奈美は自分が行くと席を立ち、明憲を呼びに向かった。
(トントン)
「明憲さん?」
(トントン)
「明憲さん?・・明憲さん朝食の準備出来てますよ?
具合でも悪いですか?」
「ん゛ん゛・・・」
え?
うめき声?
「明憲さん開けますよ!」
ドアを開けると、明憲はまだベットの中にいた。
真奈美が声にかけると、明憲は顔を真っ赤にして苦しそうに呻いていた。
「明憲さん大丈夫ですか?」
「ん゛・・ん゛・・」
真奈美が額に手を当てると、明憲は少し目を開けるが、意識が朦朧としている様で、真奈美の呼び掛けに応えることは無かった。
すごい熱・・
「明憲さん、大丈夫ですか?」
「母様・・ごめんなさい・・」
え…?
「すぐ冷やすもの持って来ますから、待ってて下さい」
真奈美がベットから離れようとした時、明憲は真奈美の手を掴んだ。
明憲さん…
「母様・・僕は・・大丈夫ですから・・お仕事・・行って下さい・・・」
明憲さん・・
私を法子さんと間違えてる・・?
「何も心配しなくて大丈夫ですよ?」
真奈美は明憲の手を握り、“大丈夫、すぐ戻って来ます” と、言って手を離した。
ダイニングルームへ戻ると、明憲の様子を伝え、洗面器に氷水を入れ、タオルと吸い飲みを持って明憲の部屋へ戻った。
冷たく冷やしたタオルを、明憲の額に乗せると、明憲はほんの少しだけ目を開けた。
「明憲さん、私です。分かりますか?
ポカリです飲めますか?」
冷水で薄めたポカリを入れた吸い飲みを、口元へやると、明憲は少しだけ飲んだ。
「今、お医者様呼んで貰ってますから頑張って下さいね?」
しばらくすると、ドアのノックと共に、法子が入って来た。
「どう?」
「40度あります・・」
「そう・・また扁桃腺晴らしたかしら?」
法子は慌てる様子もなく、明憲の小さい頃の事を真奈美へ話して聞かせた。