わたしを光へ。


「分かった。今はもう聞かない。とりあえず保健室行って休め」


そう言って私の手を引き、保健室まで連れて行かれる。


先生に私を預け、氷室くんは授業のために教室に戻ろうとしたとき。


「言っとくけど。洸に頼まれてあんなこと言ったんじゃないから」


そう言い残して彼は出て行った。


それは、氷室くんに何かを言っても、洸には伝わらないというメッセージだろうか。


本当に、彼らは優しすぎる。


それと同時に自分が嫌になる。


彼らがこんなに真摯に私に向き合ってくれているのに、私は何も伝えられていない。


真実を打ち明けてしまいたい気持ちと、言ってはいけないという葛藤で、心がバラバラになりそうだ。


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