わたしを光へ。

「花那も悪い思いはしていない筈だろ。美月が花那を大事に思うから、俺も花那を大事に扱ったんだ」



嫌でももう分かってしまった。



彼は花那のことをどうも思っていないのだと。



「私を手に入れるために、花那を利用したってこと?」



外堀を埋めて、弱っているところを確実に仕留める。



狡賢くてジワジワと広がっていく毒。



「それは少し違う。花那が美月の妹だなんて知らなかった。美月を紹介されたときは信じられなかったよ」



私は初めて加賀くんと会ったときのことを思い出していた。



確かに加賀くんは酷く驚いた顔をしていた。その理由が、私が来たから?



でも、それなら。


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