わたしを光へ。
「加賀くんは私を知っていたの?」
その問いに、彼は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「ああ、知ってた。ずっと前から」
そう、ポツリと彼は話し出した。
「美月さ、繁華街の入り口までよく来てたろ。最初は危ない女だなとしか思ってなかったけど、いつだったか見た美月をそれから忘れられなかった」
「美月は、涙を流していた…月に向かって。その様があまりに美しくて、気付けばそれから美月の姿を探してた」
洸も言っていた。洸が見ていた私の向こうでまた、彼も私を見ていたなんて。
「それで、花那とはどうして?」
「ちょっと喧嘩して行った病院で、美月によく似た子がいた。あれから全然美月の姿は見えなくなって、丁度いいと思って声をかけたんだ。それが花那だった」