無愛想な同期の甘やかな恋情
この別棟は、本社ビルとは違って年季の入った十階建ての低層ビルで、その全フロアを研究開発部が使っている。
各フロアにいくつもある研究室には、最先端の設備が取り揃えられている。
でも、この事務所は、ひと昔前の学校の職員室といった雰囲気だ。
業務の合間を縫ってやってくると、懐古に近い気分になって、心が和む。
会議室から見下ろす皇居の緑と同様、私を癒してくれる空間だ。
「ふう」と息を吐いて、無意味に両手両足を前に伸ばし、寛いでいると。
「あれ。冴島さん。こんにちは」
奥のドアが開いて、そこから白衣姿の研究員が出てきた。
「あっ……!」
だらしない姿を見られ、私は慌てて立ち上がる。
「すみません! お邪魔してます」
そう言って、頭を下げた。
「いえいえ」と返してくれるのは、穂高君が所属する第一グループ長。
私たちより二年上の先輩研究員、間中拓弥(まなかたくや)さんだ。
この事務所の奥には、研究員たちのロッカー室と仮眠室がある。
研究員は二十四時間裁量労働制で、実験が佳境の時は当たり前に泊まり込みをする。
今出てきた間中さんは、どうやら仮眠明けのようだ。
柔らかそうな茶色いくせっ毛が、後頭部の辺りで少し乱れている。
「冴島さん、一人? 歩武は?」
私がここに来る用件は、ほぼ穂高君が相手。
それが当然のように、彼が訊ねてくる。
各フロアにいくつもある研究室には、最先端の設備が取り揃えられている。
でも、この事務所は、ひと昔前の学校の職員室といった雰囲気だ。
業務の合間を縫ってやってくると、懐古に近い気分になって、心が和む。
会議室から見下ろす皇居の緑と同様、私を癒してくれる空間だ。
「ふう」と息を吐いて、無意味に両手両足を前に伸ばし、寛いでいると。
「あれ。冴島さん。こんにちは」
奥のドアが開いて、そこから白衣姿の研究員が出てきた。
「あっ……!」
だらしない姿を見られ、私は慌てて立ち上がる。
「すみません! お邪魔してます」
そう言って、頭を下げた。
「いえいえ」と返してくれるのは、穂高君が所属する第一グループ長。
私たちより二年上の先輩研究員、間中拓弥(まなかたくや)さんだ。
この事務所の奥には、研究員たちのロッカー室と仮眠室がある。
研究員は二十四時間裁量労働制で、実験が佳境の時は当たり前に泊まり込みをする。
今出てきた間中さんは、どうやら仮眠明けのようだ。
柔らかそうな茶色いくせっ毛が、後頭部の辺りで少し乱れている。
「冴島さん、一人? 歩武は?」
私がここに来る用件は、ほぼ穂高君が相手。
それが当然のように、彼が訊ねてくる。