無愛想な同期の甘やかな恋情
「え、っと。菌の培養してるから、ちょっと待ってろって言われて」


返す声が少し上擦ったのを意識しながら、私は短く説明した。
間中さんは、「そうだった、そうだった」と相槌を打つ。


「俺、それの夜の見張り番で、今日泊まりになったんだ」

「えっ。……お疲れ様です」


「ふあああ……」と声に出して欠伸をしながら、間中さんはこちらに進んできて、私の隣にドカッと腰を下ろす。


「ありがとう。でも、いつものことだし」


私を見上げてニコッと笑う彼に、私も微笑み返してから、再び腰を下ろした。


「あ、間中さ~ん。お疲れ様です」


彼に気付いた糸山さんが、デスクから声をかけた。


「おー」

「研究、戻るんですか? だったらその前に、冴島さんからジェラートの差し入れいただいたので、ご一緒にどうです?」

「ほんと? いいねえ」


ソファに深く背を預けていた彼が、むくっと上体を起こした。
糸山さんは、さっきしまいに行ったばかりのジェラートのボックスを冷凍庫から取り出して、こちらに持ってきてくれる。


「はい、どうぞ」


ソファの前のテーブルで、蓋を開ける。


「おお、豪華! じゃあ、ええと……これ、もらっていい?」


間中さんが選んだのは、ホワイトチョコとドライラズベリーのジェラート。
この夏の新作と、ショップの店員が言っていたヤツだ。
< 13 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop