無愛想な同期の甘やかな恋情
パソコンで報告書のPDFに隅々まで目を通し、一番最後のページまでいって、私の胸がドキッと跳ね上がった。
そこに、手書きのメッセージが残されていたからだ。


『君の夢が叶いますように。応援してます』


走り書きだけど、男の人にしては繊細で綺麗な文字。
それが、私の胸にとても温かく沁みて、きゅんと疼いた。
鼻の奥の方がツンとして、メッセージが滲んで歪んだ。


『ありがとうございました! 絶対、絶対、今回の企画通してみせます!』


舞い上がったまま、震える指でキーボードを打った。
彼にお礼のメールを送った時の、あの高揚感は忘れられない。


いただいた報告書を自分なりに分析して、再考に再考を重ね、その度にメールで相談した。
彼はそれにも、いつも丁寧な助言をしてくれた。


間中さんの全面的な協力を得て、私らしさはそのままに、それまでのどれよりも現実的で、立派な企画書が仕上がった。
そのおかげで、絶対的な自信をもって、企画会議に臨むことができた。
そして私は、商品化を初めて実現させたのだ。


私は、間中さんのおかげで、たくさんの魔法のアイテムを創り出すという夢を叶え、今もなお、夢の続きを追いかけているけれど――。


間中さんは、私に幸せをくれた魔法使い。
彼への感謝が、好意を超えて恋に変わるのは、あっという間だった。
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