無愛想な同期の甘やかな恋情
初めての接近
私が間中さんに恋心を抱くようになったのは、もう四年も前のこと。
そう、初めて会議に通った企画書を作成していた頃のことだ。


私たち商品企画部の社員は、化粧品の企画段階で、詳しい研究データや化学成分等の知識を求められることはない。
でも、闇雲にアイデアだけ絞ったところで、商品化が難しければ、当然ながら企画が通るわけがない。
だから私は、先輩の企画でチームメンバーとして参画した時、ちょっとだけ言葉を交わしたことのある間中さんを頼った。


企画に挙げる価値がある商品かどうか。
私が狙った一推しポイントは、現実的に開発可能かどうか。
そして、製造する上で、原料調達は困難ではないか。


電話で分析をお願いすると、研究開発部の集合アドレスに詳細を送るよう指示をもらった。
私は言われた通り、まだ未完成の企画書を送った。
それに対して、彼は『少し時間をもらえれば』と、返信してくれたのだ。


返事は一週間で届いた。
商品化が可能かどうか、私はその答えをもらえれば満足だった。
でも間中さんは、自分の研究の合間を縫って、まだ構想段階の私の企画を、わざわざ実験してくれたのだ。


『簡易的な実験だけど』と、いくつかのパターンごとに結果報告書を送ってくれた。
その当時、彼は社の一番の主力商品だった基礎化粧品ブランドの研究主任を務めていて、とても多忙だったのに。
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