無愛想な同期の甘やかな恋情
「『AQUA SILK』は、美紅さんが企画した商品を、穂高さんが全力で研究開発して商品にするから、ヒットするんです」


堂々と胸を張って言い切る彼女に、私は無意識にごくっと喉を鳴らした。


「先期の売り上げ、社史に残る記録だって聞きました。こんなに成功してるのに、この他のメンバーなんて想像できません。いや、したくないし、してほしくないです!」


きっぱりと言い切って、新井さんはニッと口を結んで笑った。
ちょっと歪んだ笑顔につられて、私も口角を緩めてしまう。


「そうよね」


ほとんど反射的に、頷いていた。


「うん。私と穂高君が『名コンビ』って言われるようになるのは、定められた運命だったってことよっ!!」


妙な自信が沸いてきて、私はギュッと握った拳を天井に向かって突き上げた。
新井さんが「よっ!」と囃し立てると、座敷のあちこちから笑い声が沸く。
そしてその時……。


「おい。恥ずかしいから、そういうこと絶叫するな」

「へっ」


いきなり背後からちょっとくぐもった声が聞こえて、私はビシッと手を伸ばしたまま、一瞬凍りついた。


「あ、穂高さん! お疲れ様で~す」


新井さんは私に構わず振り返って、声の主に労いの挨拶を向けている。
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