無愛想な同期の甘やかな恋情
「あ、どうも」


再びビールを注ぎ足してもらいながら、穂高君は表情も変えずにそう言った。
すると、どこからか、


「飲み会でうちの『名コンビ』が隣合わせに座るの、初めて見たなあ~」


そんな声があがった。


「えっ?」


私はドキッと胸を弾ませながら声を挟む。
穂高君は、特に感情を表すことなく、ちらりと私に横目を向けた。


「遅れてきたから、席選べなかっただけ。たまたまだけど、言われてみたらそうかもな」

「……たまたま、だけどね」


私は穂高君から目を逸らし、彼に合わせてそう呟いた。
チームのメンバーたちは、そんな私たちを面白がって、冷やかすように口笛を吹き、からかい始める。


みんなは、穂高君が照れ隠しで言ってると思ってるんだろうか。
だけど、言われた私は、彼の言葉の端々に、『冴島の隣がよくて座ってるわけじゃない』というニュアンスを感じてしまった。


モヤモヤした。
そのせいで、私の中でなにかが弾けた。


「……え~いっ! 私、今夜は飲みます!」


穂高君がギョッとして「おい」と制止する手を振り払い、まだたっぷり入っていたグラスのビールを飲み干した。
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