無愛想な同期の甘やかな恋情
週末を迎える金曜日、オフィス街のど真ん中の広い通りには、私たちと同じ酔客たちが行き交っている。
通りの端っことはいえ、二人してぺたんと座る私たちに、興味津々な視線が向けられているのがわかる。


それでも、完全に酔いが回った私の頭の中はグルグルしている。
視界も狭く、周りの視線など全然気にならない。


「……悪かった」


穂高君が、納得いかなそうなボソッとした声で謝ってくる。


「ちゃんと、家まで送るから。ほら、立てるか?」


私の前で片膝をつき、手を差し伸べてくれる。
私は、上向いた彼の手の平をじっと見つめてから、プイッと顔を背けた。


「……冴島」


穂高君が、でっかく太い溜め息をついた。


「拗ねるなよ。みんな見てるから。ほら。さーえーじーま」


彼にしては珍しい、ヤケになって宥めるような呼び方だから、困り果てているのがわかる。
本当は私のこと、面倒で鬱陶しいくせに。
私が『ほっといて」と言ったんだから、さっさと一人で先に帰ればいいのに。
酔っ払いの私に付き合ってくれるのも、『コンビ』なんて名目でみんなに押しつけられたから、仕方なく。
私は、いつになく捻くれていた。


「あの~。どうしたら、機嫌直して立ち上がってくれる?」


弱り切った低い声を聞いて、私は勢いよく顔を上げた。
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