無愛想な同期の甘やかな恋情
私は、ついつい目を細めて、ふふっと笑い声を漏らしてしまった。


祝賀会の後の出来事については、昨日も誤魔化しておいたし、話題になることはないだろう。
私は『了解です』と返し、その後はなるべく早くラボを訪ねられるよう、可能な限り急いで仕事を片付けた。
そして、午後七時を回った頃、オフィスを出た。


この時間、ラボの事務員たちはもう終業時刻をとっくに迎えて、帰宅している。
事務所は電気こそ点いているけど、無人でしんと静まり返っていた。


ラボの受付から、研究室の穂高君に連絡してもらったから、ここで待っていれば直に来てくれるだろう。
私は、いつも糸山さんが勧めてくれるソファに向かい、浅く腰を下ろした。
帰り支度はして来ているから、バッグは腰の横に置く。


無意識に事務所を見渡し、なにかノスタルジックな感覚に浸っていると、廊下の方から足音が近付いてきた。


「あ」


私は、それが穂高君だと信じて疑わず、すっと立ち上がった。
小走りでドアの方に迎えに出て……。


「ま、間中さん!」

「あれ、冴島さん。お疲れ様。こんな時間に、どうしたの?」


研究上がりの様子の、白衣姿の間中さんと、ドア口で正面から向き合ってしまった。
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