無愛想な同期の甘やかな恋情
二人はサラッと言葉を交わすけど、私の手作り弁当が有害認定された気分になり、私はむうっと唇を尖らせた。
その気配を察したのか、間中さんが「あ」と口を手で隠して呟く。


「え~と……冴島さんの手作りが危険ってわけじゃなくてね」


よくわからないフォローをしてくれるけど、私は意味もなく胸を反らして腰に両手を当てた。


「冬になったら、絶対差し入れます。手作り弁当! お二人に!」

「……余計な見栄、張らなくていいのに」


穂高君が、完全に呆れた顔をしてボソッと口を挟む。
間に立つ格好の間中さんは、面白そうに笑い出した。


「じゃあ、俺は楽しみにしておこうかな。……って、まあそれは置いといて。歩武、お前が呼び出したんだろ? 冴島さん」

「あ、はい」


話題を変える間中さんに、穂高君も短く頷いた。


「仕事帰りに悪いけど、冴島、こっち」


穂高君は白衣のポケットに両手を突っ込んで、私を目線で促す。


「う、うん」


彼にはそう答え、私は間中さんにペコッと頭を下げた。


「冴島さん。今度俺の試作品も、試してくれない? 意見欲しいな」


別れ際にそう声をかけてもらい、私は単純に浮かれながら、「はい、ぜひ!」と笑顔を返した。
< 62 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop