無愛想な同期の甘やかな恋情
企画会議から一週間。
会議の結果、私の企画は無事に通過して、その報告のために研究開発部……社内通称『ラボ』に陣中見舞いに訪れると。
「実験中。アポなしで来るな」
スーツの上から白衣を纏った長身の穂高君が、なんとも冷たく言ってのけた。
いつものことだけど、とにかくつれない。
その上、取りつく島もない彼に、私も一瞬頬を引き攣らせる。
「相変わらず、つれないなあ……。それに、アポ取っても、研究優先でいつも待たせてくれるじゃない」
「『新商品の企画通った』って、メールで企画書送ってくれればいいことだろ? 業務時間中だっていうのに、わざわざラボに来る必要ないって言いたいんだよ」
一応、一緒に数々のヒット商品を生んできた『名コンビ』の片割れの私に、なんとも剣もほろろな塩対応。
とはいえ、穂高君のこういう態度は、実は最初からだ。
初めのうちは結構へこんだものだけど、これも研究の鬼の彼ゆえのこと。
穂高君が、下手したら昼夜問わずに研究に明け暮れてくれるおかげで、商品の完成度も高くなる。
多少冷たかろうが、落ち込んでもいられないというのも道理。
本社ビルとは別棟にあるビルの受付から、私の来訪を告げられて、研究室から出てきてくれただけでも、まだいい方。
彼は、「じゃ」と短い一言を残し、すげなく白衣を翻す。
でも私も、すごすご退散するわけがない。
会議の結果、私の企画は無事に通過して、その報告のために研究開発部……社内通称『ラボ』に陣中見舞いに訪れると。
「実験中。アポなしで来るな」
スーツの上から白衣を纏った長身の穂高君が、なんとも冷たく言ってのけた。
いつものことだけど、とにかくつれない。
その上、取りつく島もない彼に、私も一瞬頬を引き攣らせる。
「相変わらず、つれないなあ……。それに、アポ取っても、研究優先でいつも待たせてくれるじゃない」
「『新商品の企画通った』って、メールで企画書送ってくれればいいことだろ? 業務時間中だっていうのに、わざわざラボに来る必要ないって言いたいんだよ」
一応、一緒に数々のヒット商品を生んできた『名コンビ』の片割れの私に、なんとも剣もほろろな塩対応。
とはいえ、穂高君のこういう態度は、実は最初からだ。
初めのうちは結構へこんだものだけど、これも研究の鬼の彼ゆえのこと。
穂高君が、下手したら昼夜問わずに研究に明け暮れてくれるおかげで、商品の完成度も高くなる。
多少冷たかろうが、落ち込んでもいられないというのも道理。
本社ビルとは別棟にあるビルの受付から、私の来訪を告げられて、研究室から出てきてくれただけでも、まだいい方。
彼は、「じゃ」と短い一言を残し、すげなく白衣を翻す。
でも私も、すごすご退散するわけがない。