一目惚れの彼女は人の妻
「今日ね、新しい支店長さんのお誘いで、うちの課だけで飲み会だったの。お母さんには説明が面倒だから、歓迎会って言っちゃったけど」
「あ、そう」
「支店長さんってね、まだ若いし独身なの。うちの銀行の、超エリートなのよ。ルックスも抜群で……」
「わ、わかったから、その話は後にしてくれ」
恵美の、”イケメン超エリート支店長”の話を、俺は無理やりやめさせた。放っておくと、止まりそうになかったから。
「ちぇっ。浮気女の話なら、何もないよ」
「何もって、それはないだろ?」
「だって、あたし達が店を出るのと、あの女が入って来たのは、殆どすれ違いだったんだもん。あの劇的写真を撮っただけでも、褒めてほしいわ」
「男は、どんな奴だった? 顔は見たんだろ?」
「うん、チラッとだけどね。イケメンっぽかったけど、チャラい感じだった」
イケメンで、チャラいかあ。見ようによっては、俺もそんな部類かもしれない。という事は、宏美さんの好みのタイプ、ってか?
「あれは、どう見たって浮気の現場よ。胸なんか触らせちゃってさ」
うっ。なんか今、恵美に心臓をナイフか何かで刺された感じがした。
「わかったでしょ? あの女の本性」
「あ、ああ」
「じゃあ、お休みなさい」
と言い、恵美は部屋を出ようとした。
「恵美……?」
「なあに?」
「俺を慰めてくんないの?」
こんな時、いつもの恵美なら、”お兄ちゃん、あたしが慰めてあげる”なんて、言うはずだった。実際のところ、今度だけはそうしてほしいかなと、少しだけ思ったりしたのだが……
「お兄ちゃん、そういうのはダメだよ。あたし達は兄妹なんだから。ね?」
恵美は、人差し指を立てて「チッチッチ」とか言い、呆気に取られた俺を残して部屋を出て行った。
そうか。さては恵美のやつ、”イケメン超エリート若手独身支店長”に……
まあ、いい傾向だと思うけども。
「あ、そう」
「支店長さんってね、まだ若いし独身なの。うちの銀行の、超エリートなのよ。ルックスも抜群で……」
「わ、わかったから、その話は後にしてくれ」
恵美の、”イケメン超エリート支店長”の話を、俺は無理やりやめさせた。放っておくと、止まりそうになかったから。
「ちぇっ。浮気女の話なら、何もないよ」
「何もって、それはないだろ?」
「だって、あたし達が店を出るのと、あの女が入って来たのは、殆どすれ違いだったんだもん。あの劇的写真を撮っただけでも、褒めてほしいわ」
「男は、どんな奴だった? 顔は見たんだろ?」
「うん、チラッとだけどね。イケメンっぽかったけど、チャラい感じだった」
イケメンで、チャラいかあ。見ようによっては、俺もそんな部類かもしれない。という事は、宏美さんの好みのタイプ、ってか?
「あれは、どう見たって浮気の現場よ。胸なんか触らせちゃってさ」
うっ。なんか今、恵美に心臓をナイフか何かで刺された感じがした。
「わかったでしょ? あの女の本性」
「あ、ああ」
「じゃあ、お休みなさい」
と言い、恵美は部屋を出ようとした。
「恵美……?」
「なあに?」
「俺を慰めてくんないの?」
こんな時、いつもの恵美なら、”お兄ちゃん、あたしが慰めてあげる”なんて、言うはずだった。実際のところ、今度だけはそうしてほしいかなと、少しだけ思ったりしたのだが……
「お兄ちゃん、そういうのはダメだよ。あたし達は兄妹なんだから。ね?」
恵美は、人差し指を立てて「チッチッチ」とか言い、呆気に取られた俺を残して部屋を出て行った。
そうか。さては恵美のやつ、”イケメン超エリート若手独身支店長”に……
まあ、いい傾向だと思うけども。