見上げる空は、ただ蒼く











「スマホ、ありがと。」

彼は私に突きつけるように
スマホを返すと
すぐさまどこかへ走っていく。

きっと病院に行ったんだ。

私も早く、行かなきゃ。
そう思うのに足が動かない。

「葉音、顔色悪いよ。どうした......
もしかして...そんなわけ、ないよね?」

凜も私の態度で気付いたらしい。

「結乃が、死んだ。」

私の言葉に彼女は嘘だよね、
と呆然とした表情で虚空を仰いでいる。

私たちがそこに佇んでいると、
またしても私のスマホが鳴った。

「もし、もし。」

今、電話どころじゃないです。
そう言って切ろうとした。

そのとき。

「此代坂総合病院です。先ほど
神影さんの意識が戻りましたよ。」

これは。




どういうこと?
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