見上げる空は、ただ蒼く
小さな公園に着いた。

そこは住宅街から少しはずれていて、
人目につかないところ。
私たちは並んで腰をおろした。

「結乃ちゃん、大丈夫?」

奏君が自分のハンカチをポケット
から取り出して私の額から流れる
真っ赤な鮮血を拭ってくれる。

「大丈夫だよ。それより奏くんの
ハンカチが汚れちゃう...。」

「ハンカチなんて別にいいよ。
早く結乃ちゃんのその傷を
なんとかしないと。」

2人の手持ちのものでなんとか
傷の手当てをして、私たちは
やっとのことでひといきついた。

冷たい風が2人の間を吹き抜ける
なかで、私たちはお互いの無事を喜んだ。

「本当は、怖かった。」

奏君がポツリと洩らした。
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