涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。

『…彼女はすごく素直な人で』

『自分の考えをしっかり持っていて』

『ぶれない強さがあって』

『愛らしくて可愛くて』

『笑うともっと可愛い』


――『教室じゃなくても、隣にいていい?』


ぜんぶ私を助けるための咄嗟のウソ。そうだよね。

先生の説教を長引かせないようにするためのウソ。

空を守ってくれた。

分かってる。

でも空バカだからさ、勘違いする。

すぐ顔赤くなるから。

あんまり嬉しいことばっか言わないで。

期待しちゃうから。


もっと好きになっちゃうじゃん。


その時ポケットから振動が伝わり、はっとする。

周りの音が、わっと耳に入り込んできた。

まだ熱が残る指先でケータイを取り出し、表示された名前を見てホッとする。


「あ、かっ奏?」

「おう、なんかテンパってどうした?」

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