涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


「ううんっなんでもない、なんでもない、すぐ行く。ごめん連絡すんの忘れてたもう終わる」


ふぅと息を吐いて、いつも通りの自分を意識する。


「どうせなんかやらかしたんだろ」

「うん。あの掃除させられてる」

「うぃーだっせー」

「…うるさい」

「ははっ…あ、そっちいってい?」


自然に頷きかけて、ふと気づく。

もし他校の生徒が入ってきたら…しかも奏モテるしな…



「あーだめ」

「…なんで」



声が少し低くなった。

納得いかなくて、ちょっと拗ねてる。



「こっちの学校そゆのないから、たぶんだるいことになるよ」



転入してからだいぶこっちの色に慣れた。

前の学校ではしてもなにも言われなかったことが、今の学校じゃうるさく叱られる。



「へー…」

「んじゃ待ってる」


「うん。ありがと、すぐ行く」



電話を切り、ふっと笑みがこぼれた。


面倒くさ…あのかんじはまだ拗ねてるな…


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