涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


わかんない、わかんないよ

好きとか、恋なんか、分からないよ


愛されてない人には、分からないんだよ。


空がだめな子だから

だからお母さんも空と話してくれなくなったんだ。愛してくれないんだ。


それでもねぇ奏だけは

嫌わないで

ずっと一緒にいてよ

奏がいなくなったらもうわたし


ひとりぼっちなんだよ



「…しんじゃぅ」

「っバカ言ってんじゃねぇぞ」



ほっとする声がはっきり耳に届いたあと。



「死なせねぇよ」



背後から強く抱き寄せられた。



「独りにさせねぇ…ぜったい…っ」



震えた息が肩にかかる。

こんなときでもやっぱり、ふわふわの金髪がくすぐったかった。



「…びっくりさせてごめん」

「でも、これだけはわかって」

「おれが命かけて守りたいと思うのは」

「…世界でたった一人」

「空だけなんだよ」



涙で前が見えない。

どこに立ってるのかも分からない。

でも奏がいるから、すこし強くなれる。

どんなときも。


奏の腕を手探りでつかんだ。



「…伝わった?」



苦しいけれど必死に頷いた。


伝わった、痛いほど。

ごめんね



「そらっ…ごめ、うぅっ」



口をひらいても、うまく言葉にできない。

そら最低だ。

すごく嬉しいのに

奏の気持ち、聞きたくないって、思っちゃったんだよ。

だったら今のままでずっと一緒にいられるのにって。

わたし最低だ。



「…わかってる、わかってるから」

「もう泣くなよ」



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