涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


「簡単にもてきとうにも言ったことねぇ」

「俺はいつも本気(まじ)だったよ」



ドクンと身体が痛かった。

真っ直ぐな眼差しから目を逸らす。


空いつもなんて言ってた?

好きだって言われたら空もって返してたし

一緒にお風呂とか間接キスとかぜんぶ、ぜんぶいつから


気づくと駆けだしていた。

だったら空、最低じゃん



「そら…!!」



遠くから、奏がたぶん私を呼んだ。

振り返れない。


最低だ。

ずっとっ



「ぅっ…ひくっ…」



ずっと、空が苦しめてたんじゃないか。



「はぁ…っ…」



もう一緒にいられない

話せない

どんな顔をして、どうやって目を見ればいいのかも分からない。



「うぅっ…ぐすっ」



ドンッ

だれかにぶつかり、振り返るとナイフのように鋭く睨まれた。


恐い


見るものすべてが汚れている。

右を見ても、左を見ても、みんなが空をうっとおしい目で見てる。

きっとそう、そうなんだ。


空にはどこにも居場所なんてない、のに

奏しかいないのに。

奏といつもみたいに居られなくなったら、どうしたらいいの


助けて涼太


あれ?なんで…っ

なんで涼太の笑顔が、思い浮かぶの?

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