涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
メガネの人がわちゃわちゃの中から一人抜け出してきた。
驚きながらも頷くと、その人は勢いよくメガネをとり、頭を下げた。
ガンッッ
ものすごい音が鳴り、ビクッと肩があがる。
机におでこをぶつけたその人は全く痛がる素振りを見せず、動じなかった。
えぇーーッッ
「……まじでありがとう」
勢いよく顔を上げたその人のおでこは赤い。
「そう言ってもらえただけで超うれしーわ」
本気な眼差しは、バスケに対する熱意がそのまま現れているようで、胸が熱くなる。
こっちまで嬉しい気持ちになったけど……あのさ、おでこ……。
なにか冷やすものをと思い、とっさに手に握りしめていたタオルをその人のおでこにあてた。
……空が目にあててたやつだけど……ごめん
「あ……、あ、どうも」
その人はポカンとした間抜けな顔でお礼を言い、自分の手でタオルをおさえた。
「なあ!一緒にお昼休みバスケしよ」
ひょいっと間に割って入ってきたのは、ヘアバンドをつけた人。
めっちゃ元気。