携帯メールに恋して
帰宅の途中のバスの中で携帯電話を取り出して、春美は自宅に電話をかけた。

もちろん、誰もいない自宅の電話は留守電だったが、メッセージを新鮮に感じた自分を春美は嬉しくなった。

そして、取り扱い説明書を取り出して、電話番号の登録、メールの設定とパラパラとページをめくってみた。

これまで手にしたことの無かった携帯電話を手にするって、こんなにワクワク、ドキドキするって『素敵☆』と設定の仕方を読みすすめる春美。

メルアドを何にしようか迷って、ふと外を見ると、自分が降りる停留所が見えた。

慌てて取り扱い説明をしまい、バスの出口に向かった春美。右手には、しっかり携帯電話を握りしめていた。
< 2 / 118 >

この作品をシェア

pagetop