恋する耳たぶ
しかもしかも、そこらの変な男なんかじゃなく!
ちゃんとした(浮気とかギャンブルとか借金とかニートとかマザコンとか変な性癖とか、そういうちょっと親には言えないような問題がなく、その上、優しくて誠実で真面目で、こんな私ときちんと向き合おうとしてくれるステキな!)人で!!
ああもう!
考えれば考えるほど、身に余る栄誉というか、こんな幸せが舞い降りて来てしまっていいんだろうかと自問自答してしまう。
これまでの人生でそれほどの徳を積んだ覚えはないから……
これからの人生に、何かものすごいビッグな悪いことがあるんじゃないかと心配になっちゃうよ……
はぁ、と、お布団から顔を出し、ため息をつくと、コンコン、と、まるで様子を見ていたかのようなタイミングで寝室のドアがノックされた。
「紬未ちゃん?起きてる?」
「あ、はいっ」
ここは匡さんの家なんだから、匡さんがいるのは当たり前だし、匡さんがいるとわかっているというのに、反射的に緊張してしまう私。