恋のはじまりは突然に
「改めて。俺は奏多で、こっちが蓮司ね。んで、結奈ちゃんと清美ちゃんだよね。よろしくね」
「よろしくお願いします!」

奏多さんの挨拶に清美が元気よく返していた。

私もとりあえず〝よろしくお願いします〟とだけ言って頭を下げた。

「なぁ」
「はい?」

ふと隣から声がして見ると、蓮司さんと目が合った。

「エイヒレ食っていい?」
「あー、どうぞどうぞ。一緒に食べましょ」

何かなと思えばエイヒレが食べたかったらしく、私が皿を蓮司さんのほうへ寄せると〝ありがとう〟と言ってエイヒレを口に運んだ。

私がさっき見惚れた指で食べる仕草や、ちゃんと〝ありがとう〟って言えたりするんだな、って……あの最初の印象からはだいぶ見る目が私の中では変わった。

「なぁ、蓮司。希望ちゃんにフラれて、お前はさ〝嫌だ、別れたくない〟とか言わなかったわけ?」
「は?んなの誰が言うかよ」
「でも、今までで一番惚れ込んだ女だったんだろ?」
「……まぁな」

奏多さんも蓮司さんも私たちがいるのを分かっているのか、気にしていないだけなのか元カノ〝希望ちゃん〟の話をし始めた。
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