恋のはじまりは突然に
「俺もお前の彼氏だった奴のこと忘れさせてやるから、お前も俺の彼女だった子のこと、忘れさせてくんない?」
「ほぇ……?!」

つくねを頬張ってるせいで、うまく言葉が出てこなくて、オマケに鏡を見なくても分かるマヌケ顔。

そんな私の態度を見て、蓮司さんはクスッと笑った。

「年上には興味ない?」
「え……いや、あの、」

そういう問題ではない。残念ながら私にそんなスキルは持ち合わせていないのです。

だから〝遠慮しときます……〟と蚊のような声で小さく断り〝お手洗い行ってきます……〟とだけ伝えて席を外した。
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