恋のはじまりは突然に
「あれ……?あの、清美たちはどこへ……?」
「ん?あー、お前の友達にガンガン押されて二人で店出たわ」

え……嘘、でしょ?もしそうなったとしても、私トイレに行ったんだから言いに来てもいいじゃないのよー。

清美の意外な行動にショックを受け、座ることも出来ぬまま、二人がいないテーブルを見つめた。

「俺らも出るか」
「そう、ですね……」

このまま二人にされても話すことなんてなくて、蓮司さんの言葉に頷いた。

「あの、お金どうしたらいいですか?」

蓮司さんと二人でレジへ向かい、私がお財布からお札を取り出すと彼の手によって止められた。

「奏多からの金もあるから気にするな」
「いやいや、そんな今日初めましての方に出してもらうわけにはいきませんので!」
「お前の友達は喜んで出て行ったぞ」

清美……どうしてそんなことが出来るの?

それとも〝ありがとうございます〟と言って素直に奢られたほうが賢いの……?
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