恋のはじまりは突然に
「ありがとう」
「あぁ」

俺が作ると、いつも笑顔で喜んでくれていた。

その笑顔が見たくて、面倒でもカフェオレを作って出していたのを思い出した。

「蓮司……元気？」
「そう見えるか？」
「ごめん……」

フっといて、元気？はないだろ。まぁ、でも希望も何を話していいのか分からないんだろうな。

「お前が好きな奴とは、うまくいきそうなのか？」
「え？あ……うん」
「そうか。俺はお前を幸せに出来なかったからな。そいつに幸せにしてもらえよ？」

きっと、俺に別れを伝える前から、男とは会っていて、そっちのほうが良くなって、俺を切る選択をしたんだろう。

「蓮司……私ね、蓮司のお嫁さんになりたかった」
「俺もお前を奥さんにしたかったよ」
「え……？」
「なに、俺が何も考えてないとでも思ってた？」

そう言って、指輪を希望の前に出すと口元を両手で抑え、目には涙をたくさん溜めていた。
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