恋のはじまりは突然に
「あー、思ったよりツライなこれ……」

希望が座っていた椅子、希望が飲んでいたコップ、希望が出て行った玄関……それらを見つめていると、時間だけが過ぎて行った。

………どれくらいそうしていただろう。

朝食も昼食も取らずに、ただただソファーに座りボーっとする。

「アイツ、何してるのかな」

ふと思い出した、あの子の存在。今日は休みだと言っていた。

別に希望にフラれたからと、あの子に乗り換える気はない。

ただ何となくあの雰囲気が忘れられないだけなんだ。

「夕方、昨日の居酒屋行ってみようか」

あの子がいるかもしれない。そんなことを思いながらシャワーを浴びることにした。
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