恋のはじまりは突然に
想いを伝えよう
「初めて朝帰りしちゃった……」

蓮司さんの家とは違う小さな狭いアパートの部屋に帰宅して、お気に入りの一人掛けソファーに座り、独り言を呟いた。

朝目覚めた時、隣には好きだと気付いた大好きな人の寝顔が間近にあって驚きながらも、自分は泊まってしまったんだと自覚した。

起こそうか迷ったけど、気持ち良さそうに寝ているし、何よりも別れるのがツラくて、手紙を書いて蓮司さんの家から出てきてしまった。

今頃、蓮司さんは起きてるかな?手紙読んでくれてるかな?どんなこと思ってくれてるかな?……色んな感情が頭を駆け巡った。

だけど、連絡先も交換していないわけだから、電話が掛かってくることもなく。

しばらくの間、ソファーでボーっと時間が過ぎていく時計を見ていた。

「お風呂、入ろうかな……」

シャワーでも良かったんだけど、湯船に浸かりたい気分で、そう思ったら即お風呂場に向かった。

そして、お湯が溜まるまでの間、またソファーの上で、蓮司さんのことを考えながらボーっとしていた。
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