恋のはじまりは突然に

「昨日は悪かったな」
「いえ。私の意思で付いて行ったんですから、謝らないでください」

蓮司さんは申し訳なさそうな顔をしていたけど、あの時私が嫌なら断っていたはずだし、だからそんな顔をしないでほしいんだけどな……。

「そうか、でもお前のおかげで助けられたよ。ありがとな」
「そんな……私何もしてないですから」
「そんなことない」

私はただ蓮司さんの傍にいただけ。特別何もしていない。それなのに、私のおかげだなんて言ってくれるなんて、やっぱり蓮司さんは素敵な人だな。

「あのさ、今朝彼女が来たんだ」
「そう……ですか」

蓮司さんから〝彼女〟というワードが出るだけでツラくなる。

どんな会話をしたんだろう、二人は寄りを戻したのだろうか、いろんなことを思ってしまう。

「やっぱさ、年が離れすぎてるとダメなのかもな」
「え……？」
「無理させてたみたいでさ。蓮司も幸せになってって、出て行ったよ」

そっか……ダメだったんだ。なんでだろう、あんなに二人の仲が気になって仕方なくて、自分が隣にいたいと思ってたのに、彼のツラそうな顔を見ると、寄りを戻せたら良かったのに……なんて思ってしまうなんて。

それに、年が離れすぎてるとダメかもなんて、彼女と同い年の私はもう無理ですって言われたみたいで、嫌でも涙が溢れてくる。