恋のはじまりは突然に
「おい、何でまた更に泣くんだよ」
「……、だからっ」
「あ?悪りぃ、周り騒がしくて聞こえねぇ」

私がボソッと呟いた言葉に蓮司さんが私の口元に顔を近付けてきた。

どうせフラれるなら、告白してフラれたほうがいいや。

このまま別れたら、連絡先の知らない私たちはもう会えない可能性だってあるんだし。

「好き……」
「あ?」

小さな声で蓮司さんの耳元に囁くと、一瞬彼の眉間にシワが寄った。

「蓮司さんが、好きなの」

私の目線には彼の横顔しか見えなくて……それでも分かるよ。

彼が困っていて、どう返事をしようとしているのかを。
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