恋のはじまりは突然に
「悪いけど、俺コイツ送るから」

歩き出そうとした私の隣に蓮司さんが来て、だけどそれをやんわり断った。

「蓮司さんは何も食べてないじゃないですか。少し食べたほうがいいですよ?」
「いや、いい」

そう言われても、私だって困っちゃうんだけどな……。

「えっとー、俺ら邪魔……だよな?清美ちゃん、行くぞ」
「え、でも」
「いいから。蓮司、またな」
「あぁ」

私たちの空気感を感じ取った奏多さんは、清美を連れて私たちが出てきた居酒屋へと入って行った。

清美は最後まで振り返り、私たちのことを見ていたけど……。

そんな二人がいなくなって、私たちの間に変な空気が流れた。

「あのさ、」
「蓮司さん、さっきの好きって言ったこと。気にしないでください。私に気遣わなくていいですから」

蓮司さんは何か言いかけたけど、それを私が覆い被せた。きっと蓮司さんは優しいから、この短時間で私のこと色々考えてくれてたんだと思う。
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