恋のはじまりは突然に
「今朝、アイツと別れたっていうのに、ここに来ればお前に会えるかなって思って来たんだ」
「え?」

蓮司さんが、私のことを思い出してくれてたことが何よりも嬉しかった。

「だけど気持ちとしては、お前が俺に対する思いとは違ってて」
「ううん、いいんです。分かってましたから」

だって今まで彼女を愛してたんだもん、蓮司さんはそんな乗り換えるような人じゃないって分かってるよ。

「でも今、お前が精一杯思いを伝えてくれて、離したくないって思ったのも事実で」

離したくない……?そんな風に思ってくれてたの?だから私今蓮司さんに引き止められてるんだ……。

「な、最低な奴だろ?」

なんて言っていいのか言葉が出てこなくて、蓮司さんを見つめながら、そんなことないと首を横に振った。

「今すぐに、お前の気持ちには応えられない。真剣に考えるから、俺に時間をくれないか?」
「でも私、希望ちゃんと同い年だし、もう年の差がある子とはダメなんですよね?だから無理しなくてもいいですよ」

本当は考えると言ってくれて嬉しいのに、蓮司さんが言ってた年の差がどうしても気になってしまって……。
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