恋のはじまりは突然に
「あー、言ったな。それ、お前に言ったよな」

前髪をクシャっとさせる蓮司さんは、自分の発言を後悔していたようで、年上なのに可愛いなと思ってしまった。

「でもやっぱり、ちゃんと考えたいから、時間がほしい。ダメか?」

ちゃんと私の目線にまで腰を下げてくれる蓮司さんは、やっぱり私の中では素敵な人で、この人がちゃんと考えたいと言ってくれているのだから、答えが出るまで待ってようかなって思った。

「じゃあ、待ってみようかな……」

戸惑いながらも蓮司さんに伝えると、見たことない笑顔を私に見せてくれた。

「良かった、ありがとう」
「いえ……」
「じゃあ送るから。行くぞ」
「え、大丈夫ですよ?一人で帰れますよ」

そんな送るだなんて、恋人でもないのに、そんなことしてもらうことなんて出来ないよ。

「なに言ってんだよ。何かあったら困るだろ。それに、お前のこと知りたいし」
「あ……えっと、はい……」

時々こうやってストレートに言葉をぶつけてくるから、こっちが恥ずかしくなる。
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