恋のはじまりは突然に
「家は?徒歩か?タクシーか?」
「ここからならいつも徒歩です。15分くらいなので」
「そうか、じゃあ歩くか」

何だかとても不思議な気分。もう会えないのだろうと思ってた人と肩を並べて歩くなんて……。

もしフラれてしまっても、悔いはないかな。

「何だか不思議だな。お前といると不思議な気持ちになってばっかりだ」
「それは、喜んでもいいんでしょうか?」
「あぁ、お前といると癒されるんだ」
「私も蓮司さんといたら癒されます」

本当の気持ちだから伝えただけなのに、足を止めた蓮司さんは、すごく驚いた顔をしていた。

「お前は、素直に何でも気持ちを伝えるんだな」
「それは蓮司さんもじゃないですか」
「俺が?」
「え、自覚ないんですか?結構ストレートに発言してますよ?」

恥ずかしいセリフとか普通に言ってるよね?もう何度も聞いてるけど……。

「……全然無意識だ」
「いいんじゃないですか?それらを含めて蓮司さんなんだから」
「どっちが年上か分かんねぇな」

蓮司さんは深く溜め息を吐いていたけど、嘘をつかれるより全然いい。

私のことを思い出してくれたり、居酒屋に私がいるかなって来てくれたり、それって本当に思ってくれてたんだなって嬉しく思うもん。
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