恋のはじまりは突然に
だけど蓮司さんがまた優しく頭を撫でるからっ。

「……蓮司さんのバカぁ」
「ごめんな?……あ、すみません。やっぱりここで降ろしてもらっていいです?」

再び抑えてた感情が溢れ出して、ポロポロと涙が頬を伝うと、蓮司さんはなぜかタクシーを止めた。

「私、ここに置いてかれちゃうの……?」
「そんなことするわけないだろ」

何で目的地に着く前に降りなきゃいけなかったのか分からなくて……でも、ちゃんと目的地には行くみたいで良かった……。

タクシーを降りると、蓮司さんは防護柵に寄りかかり、私の手を握ると向き合う形になった。

「ごめんな、結奈」

普段蓮司さんは声が低くくて、ぶっきらぼうな感じもするけど、あの日の弱ってた時、今こうやって謝る時は、素直にストレートに思いを伝えてくるからなのか、少しだけ声が優しくなるような気がする。

「俺が全然分かってなかったな。お前の気持ち考えないで」
「本当そうですよ……私、恋愛初心者なんですから、こういうの慣れてないんです……」

手を繋ぐのすら緊張するのに、更に密着しちゃうアレなんて、私にはハードルが高すぎるよ。
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