恋のはじまりは突然に
「蓮司さん……全然分かってないです」
「だから何が」
「私が蓮司さんのこと好きなの分かってるくせに」

今も好きな気持ちが止まらなくて、ツライのに。

「蓮司さんは無意識なのかもしれないですけど、タクシーに乗ってから、ずっと私の腰……抱いてるじゃないですかっ」

素直に理由を伝えると蓮司さんは、ソレに気付いたのか、目を大きくさせて、バッと私の身体から手を離した。

「……悪りぃ」

蓮司さんは本当に申し訳なく思ったのか、気まづそうに謝ってくれたけど、ここまできたら全部言ってやるんだからっ。

「恋人でもないのに、好きな人に触れられたら嫌でもそこに意識がいっちゃうんですっ」
「……あぁ」
「そんなことされて、ドキドキしない女の子なんていないし、離れた今もまだ熱いんですっ」
「ごめん。俺が悪かった……」

蓮司さんの目を見ることが出来なくて、でも私の想いが伝わったのか、隣で困ってるのが分かった。

「まだ、お返事もらってないのに、期待しちゃうじゃないですか……。これでフラれたら私、立ち直れないです……」

今は泣いてはいけないと、必死に瞬きの回数を増やして涙を引っ込めた。
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