宵の悪魔は裏切り者を拾う



 いくら植木に落ちることを計算したとしてもどこかしらは犠牲にしないとまあ、生きてはいられないわけで。予想外だったのが、落ちた植木が割ともっさりしていたことだ。そのおかげか、当初の予定よりも衝撃が緩和された……左腕、犠牲にしてるけど。

「いってぇ……」

 左腕に想像以上の痛みが走る。俺が落ちたであろう、小窓からアイツが真っ青な顔で見下ろしている。

「あ、飛鳥!? 無事か!?」
「無事だから、心配すんな。じゃーな」

 犠牲にしたのは左腕だが、全身打撲なのには変わりない。歩くたびに、悲鳴をあげる身体にまずはここから離れることを優先させた。

 せっかく、チームを抜けたっていうのに追いつかれたらたまったもんじゃないし。中々前に進まない身体にイラつきながら、後ろを振り返るが……あれ、誰もこないじゃん。

「えー、マジで?」

 俺、そんなに嫌われてたの? それとも、誰かしらが俺の意図を汲んで協力してくれてる?

「それなら、嬉しいけどさ」

 イタタ、と情けない声を出しながら、移動すること10分。身体に鞭打ちながら、なんとか近くの公園まではたどり着いたが……

「無理、もう限界……」

 本当、痛みきった身体が崩れ落ちるように公園のベンチにもたれかかった途端ーー急激な眠気に襲われた。


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