【完】絶えうるなら、琥珀の隙間
「そうなのかな……違うとは思うんだけど……」
カヤが自信無さげに呟く。
「そうか?」と、どこか納得していないような様子でコウは首を捻り、それから口を開いた。
「まあでも、昨日の様子を見る感じだと、何かしらの対策考える必要があるのは間違いない」
コウは真剣な様子でそう言って、「そういえば」と何かを思い出したかのような声を上げた。
「こっちに少し開けた場所があったはずだ。カヤが探しているような土地に近いかもしれない。見てみるか?」
そう言われ、そういえば土地を探しに来ていた事を思い出した。
カヤが頷くと、コウは歩いてきた道から思い切り逸れて、脇道に入った。
腰程まである茂みを掻き分けながら、コウは進んでいく。
その背中を追いかけるようにして、カヤも茂みに入り込んだ。
鬱蒼とした枝が行く手を阻むので、どうにもこうにも進みにくい。
四苦八苦しながらどうにか進むと、やがて唐突に茂みを抜けた。
「……わ」
思わず声を上げる。
そこはぽっかりと開けた場所だった。
上手い具合に木が生えておらず、剥きだしの地面が広がっている。
今は夜のため分かりにくいが、恐らく昼間になれば日当たりは良好そうだ。
広さも丁度良い。
作物を育てるのに向いていそうな場所だ。
それになんと言っても、誰も来なさそうである。
「どうだ?お気に召したか?」
ぶんぶんと激しく頷くと、コウは「そりゃ良かった」と笑った。
早速足元の土を拾い上げ感触を確かめていると、コウは広場の中心に歩いていった。
何をする気なのか、とその背中を見つめていると、なぜかその場にゴロンと寝転んでしまった。
「な、何してるの……!?」
思わず声を上げたカヤに、コウは仰向けになりながら手招きした。
「良いから、ほら。カヤも」
服が汚れる事すら気にしていないようだった。
その行動に興味を惹かれ、カヤもおずおずとコウの隣に寝転んだ。
「綺麗……」
真上を見上げたカヤは、感動の言葉を落とした。
ぽっかりと木々が開けた窓から、溢れんばかりの星が瞬いていた。
こんなにたくさんあったら、どれか一つくらいは落ちてきてしまいそうだ。
普段、月ばかりに気を取られていたから、その周りの小さな光に気が付かなかった。
そうか。
大きい光だけじゃなくて、小さな光もあるからこそ、大きい光が美しく思えるのか。
「はー……俺、一生ここに居たいわ」
隣でコウがぼやく。
偶然にも、カヤも似たような事を感じていた。
穏やかな沈黙の中、しばし2人は夜空を見つめ続けた。
「……ところでさ、カヤ。さっきの話の続きだけど」
右隣で、コウが静かに口を開いた。
「カヤは、この国の事をどう思う?」
そんな質問に、カヤは首だけをコウの方に向け、そして僅かに驚いた。
既にコウはこちらを向いていた。
いつから見られていたんだろう。
「……どうって」
その事に動揺しながらも、言葉を紡ぐ。
「可笑しな国だなって思う」
率直に言うと、コウが吹き出した。
「容赦ねえな」
くつくつと笑わた。
どう思う?と聞かれたから素直に答えただけなのに。
カヤが自信無さげに呟く。
「そうか?」と、どこか納得していないような様子でコウは首を捻り、それから口を開いた。
「まあでも、昨日の様子を見る感じだと、何かしらの対策考える必要があるのは間違いない」
コウは真剣な様子でそう言って、「そういえば」と何かを思い出したかのような声を上げた。
「こっちに少し開けた場所があったはずだ。カヤが探しているような土地に近いかもしれない。見てみるか?」
そう言われ、そういえば土地を探しに来ていた事を思い出した。
カヤが頷くと、コウは歩いてきた道から思い切り逸れて、脇道に入った。
腰程まである茂みを掻き分けながら、コウは進んでいく。
その背中を追いかけるようにして、カヤも茂みに入り込んだ。
鬱蒼とした枝が行く手を阻むので、どうにもこうにも進みにくい。
四苦八苦しながらどうにか進むと、やがて唐突に茂みを抜けた。
「……わ」
思わず声を上げる。
そこはぽっかりと開けた場所だった。
上手い具合に木が生えておらず、剥きだしの地面が広がっている。
今は夜のため分かりにくいが、恐らく昼間になれば日当たりは良好そうだ。
広さも丁度良い。
作物を育てるのに向いていそうな場所だ。
それになんと言っても、誰も来なさそうである。
「どうだ?お気に召したか?」
ぶんぶんと激しく頷くと、コウは「そりゃ良かった」と笑った。
早速足元の土を拾い上げ感触を確かめていると、コウは広場の中心に歩いていった。
何をする気なのか、とその背中を見つめていると、なぜかその場にゴロンと寝転んでしまった。
「な、何してるの……!?」
思わず声を上げたカヤに、コウは仰向けになりながら手招きした。
「良いから、ほら。カヤも」
服が汚れる事すら気にしていないようだった。
その行動に興味を惹かれ、カヤもおずおずとコウの隣に寝転んだ。
「綺麗……」
真上を見上げたカヤは、感動の言葉を落とした。
ぽっかりと木々が開けた窓から、溢れんばかりの星が瞬いていた。
こんなにたくさんあったら、どれか一つくらいは落ちてきてしまいそうだ。
普段、月ばかりに気を取られていたから、その周りの小さな光に気が付かなかった。
そうか。
大きい光だけじゃなくて、小さな光もあるからこそ、大きい光が美しく思えるのか。
「はー……俺、一生ここに居たいわ」
隣でコウがぼやく。
偶然にも、カヤも似たような事を感じていた。
穏やかな沈黙の中、しばし2人は夜空を見つめ続けた。
「……ところでさ、カヤ。さっきの話の続きだけど」
右隣で、コウが静かに口を開いた。
「カヤは、この国の事をどう思う?」
そんな質問に、カヤは首だけをコウの方に向け、そして僅かに驚いた。
既にコウはこちらを向いていた。
いつから見られていたんだろう。
「……どうって」
その事に動揺しながらも、言葉を紡ぐ。
「可笑しな国だなって思う」
率直に言うと、コウが吹き出した。
「容赦ねえな」
くつくつと笑わた。
どう思う?と聞かれたから素直に答えただけなのに。