【完】絶えうるなら、琥珀の隙間
(そ、そんなに見るか)
行き場を無くした手をもじもじとさせながら何とか耐えるカヤだったが、翠は酷かった。
何も言わないし、何もしてこないのだ。
ただただ無言で、カヤの無いのか有るのか良く分からない胸を凝視するばかり。
まあ勿論、カヤの限界はすぐに来た。
「っ無理!」
カヤは色々と耐え切れなくなり、またもや胸元を隠しながらその場に蹲ってしまった。
「なんでそんなに見てくるの!?何なのこれ!新手の拷問!?」
真っ赤な顔で喚くカヤに、翠は声を出して笑う。
「隠すなよ。せっかく綺麗だなって思いながら見てたのに」
「なっ……す、翠の意地悪!鬼!変態!」
思いつく限りの悪態を並べるが、彼はどこ吹く風だ。
「ほら、カヤ。ちゃんと見せて」
それどころかまたもやカヤの腕を掴んで、身体を起こそうとしてくる。
「まままま待って!」
カヤは死にもの狂いでその腕を振り払うと、キッと翠を睨み付けた。
「その前に翠も脱いでよ!な、なんで私ばっかりこんなっ……狡いよ!」
一人だけしっかりと衣を着ている翠に、噛み付く様に言う。
すると可笑しそうに肩を揺らしていた翠は「まあ、確かにな」と呟いた。
「分かったよ」
案外あっさりと頷いた翠は肩に羽織っていた厚めの衣を下ろし、その下に着ていた衣の腰紐を解くと、迷いなく脱ぎ捨てた。
ぱさり、と全てが地面に落ちて、あっけなく翠の皮膚が剥き出しになる。
息を呑んだ。
女性のものかと見間違うほど白く綺麗な肌なのに、しなやかな筋肉が付いた身体は、間違いなく男の人のそれだった。
対称的とも言えるその歪さは、翠の美しさを恐ろしいほど際立たせていた。
もう翠は何も云わなかった。
カヤの手首を再び握ると、柔くこじ開けてくる。
抵抗はしなかった。
否、出来なかったと言う方が正しい。
知りたい、と思う欲望の方が断然勝っていた。
翠をもっと知りたい。
カヤは身体中で震えながら、翠の視線だけでなく、翠自身も受け入れる覚悟を決めた。
膝を付いた翠に引き寄せられ、触れるだけの口付けを交わす。
翠の唇はすぐに離れた。けれど心底丁寧に、頬、首、鎖骨、そして胸元へと落ちて行く。
胸先を啄む翠の頭を、思わず強く抱き締めた。
滑らかな黒髪を指に絡めて、こそばゆさに息を吐く。
カヤよりもずっと大人びていて、あれだけ民に尊崇されている翠の頭が、まるで赤ん坊のように自分の胸元に埋められている。
その言葉にならない背徳感に眩暈がした。
「っす、いっ……」
くらくらして、もうまともに座っていられなかった。
ずるずると倒れ込んで行くカヤが頭をぶつけないよう、翠の掌が優しく支えて地面に横たえてくれる。
行き場を無くした手をもじもじとさせながら何とか耐えるカヤだったが、翠は酷かった。
何も言わないし、何もしてこないのだ。
ただただ無言で、カヤの無いのか有るのか良く分からない胸を凝視するばかり。
まあ勿論、カヤの限界はすぐに来た。
「っ無理!」
カヤは色々と耐え切れなくなり、またもや胸元を隠しながらその場に蹲ってしまった。
「なんでそんなに見てくるの!?何なのこれ!新手の拷問!?」
真っ赤な顔で喚くカヤに、翠は声を出して笑う。
「隠すなよ。せっかく綺麗だなって思いながら見てたのに」
「なっ……す、翠の意地悪!鬼!変態!」
思いつく限りの悪態を並べるが、彼はどこ吹く風だ。
「ほら、カヤ。ちゃんと見せて」
それどころかまたもやカヤの腕を掴んで、身体を起こそうとしてくる。
「まままま待って!」
カヤは死にもの狂いでその腕を振り払うと、キッと翠を睨み付けた。
「その前に翠も脱いでよ!な、なんで私ばっかりこんなっ……狡いよ!」
一人だけしっかりと衣を着ている翠に、噛み付く様に言う。
すると可笑しそうに肩を揺らしていた翠は「まあ、確かにな」と呟いた。
「分かったよ」
案外あっさりと頷いた翠は肩に羽織っていた厚めの衣を下ろし、その下に着ていた衣の腰紐を解くと、迷いなく脱ぎ捨てた。
ぱさり、と全てが地面に落ちて、あっけなく翠の皮膚が剥き出しになる。
息を呑んだ。
女性のものかと見間違うほど白く綺麗な肌なのに、しなやかな筋肉が付いた身体は、間違いなく男の人のそれだった。
対称的とも言えるその歪さは、翠の美しさを恐ろしいほど際立たせていた。
もう翠は何も云わなかった。
カヤの手首を再び握ると、柔くこじ開けてくる。
抵抗はしなかった。
否、出来なかったと言う方が正しい。
知りたい、と思う欲望の方が断然勝っていた。
翠をもっと知りたい。
カヤは身体中で震えながら、翠の視線だけでなく、翠自身も受け入れる覚悟を決めた。
膝を付いた翠に引き寄せられ、触れるだけの口付けを交わす。
翠の唇はすぐに離れた。けれど心底丁寧に、頬、首、鎖骨、そして胸元へと落ちて行く。
胸先を啄む翠の頭を、思わず強く抱き締めた。
滑らかな黒髪を指に絡めて、こそばゆさに息を吐く。
カヤよりもずっと大人びていて、あれだけ民に尊崇されている翠の頭が、まるで赤ん坊のように自分の胸元に埋められている。
その言葉にならない背徳感に眩暈がした。
「っす、いっ……」
くらくらして、もうまともに座っていられなかった。
ずるずると倒れ込んで行くカヤが頭をぶつけないよう、翠の掌が優しく支えて地面に横たえてくれる。